オサゾウはゾウムシ界では飛翔部門ランキングのトップクラス(おそらく)で,ライバルはクモゾウくらいでしょう.
このたび(2003)某サルゾウの大家から2000年に福岡で発生したヤシオオオサゾウ Rhynchophorus ferrugineus (Olivier) の生き虫を頂戴しました.飛ぶところを動画に撮ってみましたので興味のある方はご覧下さい.形式は *.mpg,各ファイル400MB程度です.ダウンロードに多少時間がかかるかもしれません.
オサゾウの仲間の翅鞘が細く,側面はさらに切れ上がっており,翅鞘を少し上げるだけで後翅が伸ばせるようになっています.ハナムグリ類と似た感じです.
ツユクサにいるトホシオサゾウが飛び立つところを何度か目撃した事があったのですが,ヤシオオオサゾウも同様に翅鞘を少し上げて後翅が伸ばして飛びます.後翅の上下のストロークが浅く,細かく振動させます.音は小さいですがカナブンと同じくらいの高さに感じました.飛ぶときは中脚を斜め前に上げるようです.
22℃の部屋で飼っていて,朝,マットの中に潜っているのを取り出したところ,最初は何かに隠れよう,潜ろうとしているようでした.しばらく手に載せていじくりまわしたり,歩かせたりしたあと木に止まらせると,腹を動かしてアップ(?)したあと飛び立つ態勢に入りました.
最初の離陸は失敗して床に落ちましたが,数回繰り返すと水平に飛べるようになりました.ホバリングは見られませんが,調子がよければカナブン程度の空中定位はこなせるのではないかと思います.
沢田佳久