「醤油鯛」と「たれびん」,「ランチャーム」に関する誤解や混乱があるようですので,まとめておきます.
結論を簡単にいうと,『醤油鯛』=『たれびん』ではありませんし,『醤油鯛』=『ランチャーム』でもありません.
『醤油鯛』⊂『たれびん』ではあります.そう,集合の問題なのです.
上のベン図に要約したとおりです.『醤油鯛』かどうか(赤線),『たれびん』かどうか(黄線),『ランチャーム』かどうか(橙線),中身の有無(灰線),という区別は独立しています.
以下にクドく説明しますが,同じ事を再確認しているだけです.上図以上のことは書いていません.
筆者は醤油鯛を「量産された合成樹脂製の液体調味料容器で,全体で魚の形を模したもの」と定義しています.
「たれびん」という名前の使用について明確な,統一的な規定があるのかどうか分かりませんが,すくなくとも関連業界において一定の共通認識があると思います.また,実際に商品に「たれびん」等と明記したものもありますので,ユーザが想像しうる範囲の常識的な理解の範囲のもののはずです.
狭義には「タレを入れる(合成樹脂製の)ビン」,広義には「タレなどの液体や流動物を入れるビン状の容器」だろうと筆者は考えています.
「ランチャーム」は旭創業さんの商標であり,該当商品や使用範囲は同社が決定できる(適宜変更できる)ものです.現行の使用範囲は同社のウェブ頁から知ることができます.
重要な条件として,1)旭創業製であること,2)充填済であること,が含まれています.使用素材や形状は限定されておらず,具体的にいうと,フィルム製で平行四辺形(ミニパック)のランチャーム,一升瓶や小判,瓢箪形のランチャームが存在します.醤油以外に,ソースをブタ型に充填してもらうこともできるようです.
ユーザー目線で出会う物はこんな感じです.
未充填 | 醤油充填済 | ソース充填済 | 使用済 | リユース | 乱用 |
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いつもの弁当にはいつものアレが入っていて,醤油やソースや母の愛が詰まっているのであった.
そしてまれにマスタードやケチャップを詰め込んでくる猛者も.
まず醤油鯛かどうか,定義に照らして下表のように区分できます.
”目線”はあくまで外側の容器にあり,内容物にあまり興味がないわけです.
流通や運用の観点も重視しません.
醤油鯛 | 非醤油鯛 |
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次に「たれびん」かどうか,たぶん下表のように区分するのではないかと思います.
プロ目線では,魚かブタかではなく,たぶん容量とか口径とかが重要なのではないかと思います.
たれびん | 非たれびん |
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「ランチャーム」かどうかは,社内的には明確でしょうし,きちんとロゴが入っていてユーザーも区別できるようにしてあります.
ランチャーム | 非ランチャーム |
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しかし,こういう見方もできます.中身が詰まった状態で販売されている製品のみが「ランチャーム」なのです.
充填前のものも,使用後のものも,ランチャームではありません.あなたが毎朝詰めなおして使っているものに旭のマークがあっても,残念ながらそれは既に「ランチャーム」ではないのです.
ランチャーム の材料 | ランチャーム | ランチャーム の残骸 | ランチャーム の乱用 |
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ランチにチャーム,素敵な名前が気に入っていても,もうそれを『ランチャーム』と呼んではいけません.「腐敗」とか「食中毒」とか「自己責任」とか「ブランド」とかの言葉を思い浮かべてください.大人の事情ですね.
あなたが愛用しているのは『たれびん』であり『醤油鯛』なのです.