20周年特別企画 歴代機材での作動確認

【8】 NetWalker PC-Z1


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 今回は,わりと珍品,変り種というべきでしょうか.Ubuntu 機です.
 そもそも,筆者はこの機体に出会うまで,Ubuntu の存在さえ知りませんでした.Linux は聞いたことあるケド,みたいなレベル.
 一見「電子辞書」みたいなこいつが叩き売られているのを見て,スペック表を覗き込んで携帯電話で検索し,熟慮(とは言わんやろ!)の末,衝動買い(やっぱし!)しました.2010年8月のことです.
 今回も最初から「変なもの」として買いました.で,買ってしまってから,これで何がどこまでできるのか? を考えるわけです.

 まずは「Ubuntu 機で DemeJ を動かす」が課題です(自分で課すな!).これで結構苦労しました.
 そもそも無契約端末なのでネット接続に苦労しました.やっとこさで繋ぎ,Java をインストールすると,DemeJ が動きました.
 さらに,すんなり動かすためにスクリプトみたいなのを学ぶ必要のありました.

 後に DEMOID などの WEB アプリを作った際,こいつで試してみると,いきなりマトモに作動しました.
 最初から標準ブラウザとして FireFox が入っています.なので,動くはずだとは思いましたが,実際に何の苦労もなくフツーに動かれてしまうと,DemeJ のときの苦闘との落差に驚き,感動したわけです.
 Java で言われていた "WORA (write onece, run anywhere)" は HTML5 で実現するのかもと思いました.

PC-Z1

DemeJ と FireFox 上で DEMIMUS が動いている PC-Z1

 シャープは2010年10月22日,「パソコンの生産を終了していた(過去形).」と発表しています.2009年10月発売のネットブック,Mebius PC-NJ70B と 80B が最後なのだそうです.
 2009年09月発売の PC-Z1 も,筆者は十分パソコンだと思う(名前も PC だし)のですが,シャープは”スマートブック”なのだと言っています.
 シャープは後に IS01 という変な Android 機も発売しており(2010年),これも”スマートブック”なのだそうです.
 はは〜ん,Windows 代をケチったのは社内的にPC失格となり,それをスマートブックと呼んでますね(WindowsCE のは”電子辞書”).
 この頃のシャープの迷走ぶりはガラパゴス事件に顕著にうかがえます.
 電子書籍配信事業『ガラパゴス』は2010年7月20日に発表されたシャープの社運をかけた一大新事業,壮大遠大な計画でした.専用端末が12月10日に発売されました.しかし(当初から多くが予想したとおり)早々に頓挫,2011年9月には事実上の撤退宣言となったものです.
 当初は「マーケットもハードも独占」だったのが途中から「他社製 Android にも開放」とブレます(のちに iPhone にも開放).自社製端末も Linux 系の独自 OS → 普通の Android と変化しています.
 ともかく,この事件と関連づけるならば,シャープはガラパゴスに全力をつぎ込むためにパソコンを捨てた,のであり,パソコンを作っていた人たちが最後に作ったのが,PC-Z1 や IS01 だったという感じです.

 さて PC-Z1.この機種に対する世間の評価は,だいたい,こうです(世間というには偏りすぎ,ごく一部のマニアの方々の意見なわけですが).

モバイル派:Windows 代をケチったな.工人舎 PM の方が小さくていちお うXP が乗ってるぞ.それと,このキーボードは何?
LINUX常用派:こういう機械はあって当然だ,よくやった SHARP.でもこのキーボードは何?
ZAURUS派:リナザウのキーボードみたいにしてほしかった.

 要するにキーボードが最悪でした.(小型化で問題なりがちな)キーピッチではなく,キータッチが最悪.傾きながら沈み,どの深さで感じてくれるかわからないキーボード,シーソーみたいな,指をかわすような,最悪のキーボードです.最悪.
 で,ソフトキーボードのほうがマシ → 後継機でハードキーボード廃止,です.

 その他の使用感としては,ツヤツヤの筐体は,素手で触るのをはばかられます.画面は綺麗にしておきたいので,タッチパネルの使用ははばかられます.キーボードの奥のツヤツヤエリアも素手で触るのをはばかられます.スイッチ・オンさえ素手でやりたくないです.なので,たいてい USB を分岐してマウスをつないで使用.
 こういった感じで「実験専用機」として温存中,使用はばかり中です.

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