2012年中のつもりで特別企画を編纂していたら,2013年になってしまいました.
そうこうするうちに,こいつを買ってしまったので,駆け込み掲載.
2012年,「kobo 騒動」みたいな事がありました.「楽天が勝手に送りつけてきたけど即オク放出だ」とか,「初日にゲットしたのに登録できないぞ」とか大騒ぎです.kobo のコケぐあいをマスコミが報じたため,関心のなかった人まで注目することになり,これが結果的に Kindle 上陸の宣伝になったようです.
筆者はあまり関係ないかなと思っていましたが,気になる事もありました.「kobo にはウェブブラウザが付いており,そこそこ動くらしい.白黒なのにケナゲだ.」みたいな情報です.関連した記事を見て「へぇ〜電子ペーパー,E Ink ねぇ.」と興味を持ってしまいました.液晶やプラズマとは違うのだなぁ程度の認識.
やがて,対抗馬というか,こっちが本命らしいというか,アマゾンの kindle も日本で発売されました.特に Paperwhite は車内吊に全部押さえて広告出てます.値段も僅差で拮抗,牛丼みたいな状況.でも「じっくり読書」の幻想を売ってるだけで,明らかな一過性のものですので,祭りが終ったらキープしておかねばと思いました.牛丼みたいな共倒れを希望.
筆者としては本来の電子書籍リーダとしての興味はなく,ブラウザが;1)HTML5 や JavaScript にどれくらい対応しているか,2)ローカルファイルを読むか,に関心を持っているわけです.kindle にもブラウザは搭載されています.あと,電子ペーパーなるものに触ってみたい,的な.
ググっていると,kindle 側の情報は kobo のを断然しのいでいました.ソニー Reader という電子ペーパー機もあるらしいのですが,これは無視.
kindle Paperwhite についているウェブ・ブラウザは「ブラウザ(体験版)」というやつで,正規版があるわけではなくエクスキューズとして「体験版」という名称にしてあるようです.鈍いけど堪忍してね,の意味なのです.
その「体験版」は HTML5,CSS,JS にかなり対応しているようでした.また,documents フォルダ内に置いたローカルファイルを;
file:///mnt/us/documents
なるURLで指定できるようです.
ふふ〜ん,使えるやん.
あと「3G版は意味ないな」とか,物欲の形が日に日に具体的に.
こうなると時間の問題です.一回目の値下げでスイッチが入ってしまいました,要するに夜中にポチってしまったのであります.アマの支払い指定の連絡(これを無視すれば自動的にキャンセル)を待っている間に近所の量販店で店頭展示をみて,翌日また行って,在庫があったので購入.
帰りに某ーソンの wi2 でつないで WEB をみてみました.
ううっ! 電子ペーパー,小さな GIF アニメの表示について行けてません.
わが DEMOID と DEMIMUS(JavaScript で CANVAS を書き換えている)を動かしてみると,たしかに,たしかに動いています.ただ描画に汲々としているというか,アップアップ.文字列の書き換えも一々白紙に戻しており,描画がとにかく大変そうです.DEMOID より DEMIMUS のほうが演算は多いのですが,もたもた度合いは同じです.つまり描画が律速段階なのは明らか.
家に帰って早速ローカル環境を作ってみました.PC に対しては従順なマスストレージとして気持ちよく繋がります.本機の documents フォルダ内にサブフォルダ,たとえば"local"を作ってファイルをおいても,きちんと認識してくれるようです.なので整理の都合上;
file:///mnt/us/documents/local/
にいろんなファイルをコピー,ローカルメニュー的な htm を一個書いて,その URL をブラウザから直接手入力,ブックマークしました.
ネットでは日本語の Shift-JIS の html は文字化けするとの情報がありましたが,メタタグに明記しておくと所期どおり表示されました.
と,すべて期待通りです,オンラインと同じように作動します.速度も同じように遅いです.つまり,中の問題です.
可哀想なので,JS の数値を一つ書き換えて,0.5 秒→2.0 秒にしてやったら,なんとなく自然な感じになりました.
各ピクセルは一つの描き換えごとにいったん白にもどるので,ブリンクするように見え,視覚的には二行程あるように見えます.約二秒周期でビッコン,ビッコンと動いております.ほんと,ケナゲ.
なんでこうなのか? それはこうなのだ,ということを初めて認識しました.つまり…
A.電子ペーパー:表示の持続にエネルギーを使うべきではない.表示を変更にエネルギーは必要だが.
B.読書という行為:読者が自分のペースで行う.文字の並びを行きつ戻りつしつつ理解したり味わったり,熟考のすえ読み直したり,複数の解釈にあてはめたり…
AだからBであり,BだからAなのです.
読書では,紙面を行間をじんわり見る時間が主であり,その際の見えぐあいがかなり重要.なので電子ペーパー.
そして,繰る時間が時々あり,これに対してはストレスを感じさせない程度の短時間で処理すれば十分.そのような要請が形をとるとコレ,電子書籍リーダーになるわけです.
確かに静止した画面,紙面は液晶にない落ち着きです.いわゆる,目に優しい.ためしにゼロックス・コピーを撮ってみると,紙同様の仕上がりです.ほとんど紙.
実際にコンテンツを買って読んでみました.結果,×です.「持ちにくい」が理由です.
紙の本なら視線が当たっている以外のどこを掴んでも,摘んでも自由です.読んでいる行の移動とともに持ち替えたりもします.
しかし電子書籍リーダーの場合,紙面に触って反応されるのを恐れて,縁を持つことになります.親指を大きく開いてぐわっと”掴む”のが標準的でしょう.親指と人差し指で”摘む”場合,縁あたりを持つしかありません.重心から遠いところなので長くなるとしんどいのです.
とにかく「触ってはいけない部分」の存在が苦痛になります(あくまでも個人的な使用感).
不可解なのはスクリーンセーバーの存在です.スリープに入るとスクリーンセーバーを表示して冬眠します.このとき電気を使わずに表示し続けているわけです.
だったら,スリープ前のまま寝てほしいです.たとえばコイツにマニュアル本を表示し,それを参考に,何かをいじくる,ということができません.一定時間でマニュアル本がスクリーンセーバーに移行.たいへん意地悪です.
スリープする際にスクリーンセーバーに移行しないとか,スリープしないとかの設定はできないようです.わけわからんっす.
… と思っていたら見つけてくれた方があるようで,ホームで[~DS]を検索するとスクリーンセーバーを OFF にできるようです(戻すにはリセットしかない).
さて,そのような目的の機器である電子書籍リーダーに,ウェブ・ブラウザはもともと住みにくいのです.ブラウザは,スクリプトが自分のペースでずんずん描き換えるような環境を提供しますが,電子書籍リーダーのハードはソレように作られてはいません.
でも,ウェブ・ブラウザが存在する以上,ユーザとしてはそれで動画が見たいし,提供者的には広告バナーを表示したいし,そのへんが辛いところなのです.
落としどころが「体験版」との表現です.十分理解できます.無理なの承知で付けといてくれて,ありがとう.
ソフトとハードの食い違いという点では,スクリーンショット(キャプチャ)の画像でもそれを感じます.スクショはpngで撮れます(ほかに理解不能なtxtも出来ます).調べてみるとパレットはグレースケール 256 階調で,そのうち42色とか64色が使われています.最大 128 なのか 256 なのかは不明です.
一方で電子ペーパーは 16 階調です.つまり,ブラウザ起動中はWEBから得たいろんなカラー画像を 256 階調グレーに落として内部的に持ち,それを 16 階調グレーに変換したものを表示に回している,と想像されます.ブラウザの仕事とシステムの仕事がどう分かれているのか知りませんが,似た作業を二段階にやってる感じがします.
スクショの png を部分ごとにみてみると canvas の部分は16階調に落としてあり,ブラウザの基本部分が細かい階調で表示されています.
16階調は以下のとおり,"#333333"とか"#AAAAAA"とかのゾロ目の値です.
FFFFFF | EEEEEE | DDDDDD | CCCCCC |
BBBBBB | AAAAAA | 999999 | 888888 |
777777 | 666666 | 555555 | 444444 |
333333 | 222222 | 111111 | 000000 |
と,いう事が分かったので,DEMIMUS などの表示部品をコレに向けて最適化してみたのが "DEMIMUS(K)" です.