20周年特別企画 歴代機材での作動確認

【16】 IS01


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 問題の名機です.Android 1.6 搭載.

 筆者が最初に入手にした Android は IS12SH で,そのバージョンが 2.3 でした.それを相手に DEMOID などの WEB アプリ版を作ったのですが,当然,他のバージョンでは大丈夫か? 的なことが気になりだしました.
 新しいバージョンでの作動は店頭にオンライン状態で展示してある見本などで確認できます.しかしこの方法では旧いバージョンの確認はできません.
 「安い現物を落札できればなぁ…」と考えはじめた頃にこの機種,変にキーボードついてるやつ,を知ってしまったのです.
 知ったというより「あらためて気づいた」というべきかもしれません.発売時にパンフをもらった覚えがあるのです.そのときは単に QWERTY キーボードが気になって(携帯電話のテンキー入力が苦痛なので),でもそれが現状の契約では使用できないものだと分かって興味を失いました.当時はまだ Android がどういうものか,理解していませんでした.
 あらためて Android 1.6 機として見た場合,たいへん魅力的です.この機種に絞って入札!入札! → わりとリーズナボーに落札.

 さっそく動かしてみると,DEMOID などは問題もなく作動しました.いくつかブラウザを試してみたところ,Canvas 未対応のものもあり,その場合には作動しませんので,区別が必要だと実感しました.
 オフラインで DEMOID などを動かすには,ファイル一式をローカルにおいて,ブラウザがそれにアクセスするよう,教えてやらなければなりません.その指定方法がブラウザごとに違っていたりするので,これも 研究の要あり.

IS01

Angel ブラウザ上で DEMOID が動いている IS01

 この機種の登場は,けっこうドラマだったようです(後から知ったんですケド).>>>>>

 物語は iPone の出現(2007年1月9日発表,6月29日USA発売)から始まります.それは一見してモダンなインターフェースを取り入れたものでした.(じっさっいにどれくらい便利かはともかく)革新的な機材,多くの人が飛びつきます.
 日本の有力3キャリア,au docomo SoftBank (アルファベット順)の中では一社だけ,SoftBank 独占的に取り扱うことになりました.日本での発売は iPhone 3G (2008年7月11日)から.
 一方で Google の Android が急激に台頭,初の Android スマホ,T-Mobile G1(2008月10日22日USA発売)が出現し,世界的にはスマートフォンの時代に突入しました.その過程で閉鎖的な Apple とゆるゆるの Android の対決の構図があきらかになって行きました.
 技術立国のつもりだった日本国内では「ガ,ガラパゴス!?」とパニック.
 やがて docomo の Android スマホ HT-03A(台湾 HTC 社製)が登場(2009年5月19日発表,7月10日発売),残った au に注目が集まります.

 au 側はこれに対し,「Android 携帯の発売は来年以降」(2009年6月24日),「Android スマホを6月以降に発売」(2010年2月17日)と,気を持たせた発表を小出しにしてつなぎます.
 そして au もついに「3月30日(火)11:00からGoogleと『新 商品』の発表を行う」と発表(2010年3月19日).あきらかに Android 搭載機種の予告です.すると SoftBank も初 Android (HTC Desire)を4月下旬以降に発売との発表(2010年3月28日)をかぶせてきました.

 30日に発表する予告を19日に発表て,発表予告の発表て,要は「待て.発表を見てから判断すべし.」ですよね.「au の新製品をみてから」.機種変更,キャリア変更の判断を保留したユーザーは,日に日に蓄積します.遡って1年ほど前から判断保留を強いられてきた au ユーザが待ち構えています.
 純国産初,シャープ初の Android.熱心なガジェッターも大盛り上がりです.

 この間,au の店頭でも流出する顧客の引きとめに必死の対応だったようです.なにしろ”夢のスマホ”に目をキラキラさせた客に「ウチはまだ出してませんが…」と答え続ける日々なのです.
 まだ見ぬモダンなインターフェイス,サービスに一刻も早く触れたいっ! 友達のやつみたいな,あんなのがほしいっ! そんな客をあの手この手で引き止めるわけですから.
 「もう少しだ,新製品発表までの辛抱だ.」そんな戦いだったのでしょう.

 そして2010年3月30日,発表されたのがコレ.

au by KDDI 初 Android
IS01
QWERTY ハードキーボード完備

 一同唖然.そのあと声を揃えて;

スマホちゃうやん

 シャープ側はスマホとは違うガジェットの提案なのだ,コレは”スマートブック”なのだとの説明を行うわけですが,多くのガジェッターは,流行についていけなかった会社の言い分け,としか捉えなかったようです.
 非スマホという提案はあり得る姿勢だと思います.筆者は正解だと思います.でも市場は「論外」の評価.
 発売直後に「スマホ的な Android を年内に」との情報が流れ(2010年7月13日),敗北宣言です.

 1.6 でリリースされた IS01 でしたが,すぐに 2.1 だの 2.2 だのが気になりだし,それへのバージョンアップしませんとの情報が流れ(11月16日)でまた落胆.

 >>>>> 筆者がパンフを手にし,「キーボード付きだけど手が届かん」と思ってスルーした前後にこのようなドラマが繰り広げられていたようです.

 特徴のある形状は「めがねケース」という愛称だか蔑称だかで呼ばれるようになりました.
 それでも,こういうのが好きな人は少なからず生息しており,この機種専用のブラウザ(「ぶらうざ++ for IS01」)が作られたりもします.世間は捨てたものではないと思いますね.

 ただ,せっかくのハードキーボード,配列が変です. SHIFT と ALT の位置がおかしく,SHIFT のつもりで "Z" を押してしまいます.
 それに対して,せめて ALT と SHIFT を入れ替えようとの研究もあり,具体的な手段(要root化)が公開されています.世間は捨てたものではないと思いますね.

 話は変わりますが Android の DalvikVM は JavaVM とは同じでない,事になっています.しかし本機こそ,JavaVM が実体化した Real JavaVM あるいは,JavaRM,”リアJ”みたいな感じがします.そういう意味でとてもイトオシイのですが.

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